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Interview vol.2 / DECO+

鉄工・木工・金工 作家

7月14日からの一週間
Fountain Mountainで2回目となるポップアップストアを開催したのは、
穏やかな瀬戸内海が広がる玉野市で
アイアン製品やアクセサリーを作る夫婦ユニット
DECO+」(デコプラス)。

夫が鉄工・木工を、
妻が金工とアクセサリーを担当し、夫婦で歩みを共にする「DECO+」は
男性的で凛々しい作風からは想像もつかない、
「夫婦漫才」のように朗らかに掛け合う二人。

夫婦漫才ならぬ、夫婦ユニットとして

活躍されている現在と、その中で抱えている苦悩…。
 

インタビュー 第二弾は、DECO+ のお二人にお話を伺いました。

↑DECO+のお二人は顔出しNGとのこと。「作風とわれわれ夫婦のイメージがちょっと違いすぎて...」と笑う旦那さんからいただいたのは、工房の大きな窓から見える空の画像。

インタビューは標準語で起こしていますが、柔らかい岡山弁でおしゃべりされるお二人でした。

ーーーーーーーーーーーーーー

木工・鉄工・金工の作品づくりの夫婦ユニットとしてご活躍されている

DECO+ のお二人ですが、
昔からモノづくりが好きで
現在のような作家活動をされるようになったのは自然な流れだったんでしょうか?

 

【夫】 そうですね。
僕の方は若い頃に、自分で撮影したカルチャーっぽい写真を

ポストカードサイズにプリントして、路上で売っていたりしましたね。

【妻】 ちょっとそれっぽい文章を書き添えたりしてね。笑

【夫】 あははは。笑 

もう20年も前の話ですけどね〜。笑
今とカタチは違えど、昔から “ モノづくり ” は好きでしたし、そういった活動はしていましたね。

 

自作のポストカードを路上で販売 !!

確かにそういう方、いらっしゃいましたよね。笑
意外です! 面白いですね! 笑

【夫】 その後、妻と結婚して子供が生まれたんです。

子供が生まれた時、僕が感じたのは

「買いやすい価格帯の子供服って、オシャレなものが少ないなぁ…。」なんですよ。

今でこそ子供服ってずいぶんオシャレになりましたけど、

十数年前って全然だったんですよね…。

そこで僕が始めたのが、子供用Tシャツのシルク印刷(※1)だったんです。
そうはいっても、はじめは販売なんかするつもりはなくて、

完全に自分の子供たち用に作ってたんです。

でも、その当時主流だったシルク印刷って
1枚つくるのも10枚つくるのもコストはほとんど変わらないんですよね。

そこで「余分に作れちゃったTシャツ、売ってみようかな…?」って軽い気持ちで
知ってるお店さんにちょこちょこ置かせていただいて販売し始めたんです。

↑(※1)インクが透過する穴と透過しない穴を作ることでデザインの版を作成し、印刷する技法のこと。学校の図工の授業でやった版画をイメージしてもらえると分かりやすいですね。

10年ほど前まではシルク印刷が主流でしたが、現在は1枚から印刷できるインクジェット印刷が主流に。

  

【妻】 ちょうどそのころ私の方は、親の介護と子育てでいっぱいいっぱいな時期でしたね..。
そんな状況だから私があまりにも陰にこもるもんで、
心配した夫が、ある日突然「アクセサリーキット」を買ってきてくれたんです。笑

その頃、私は看護師の仕事もしていたので、
仕事と介護と家事と育児をひと段落させた夜中に、そのアクセサリーキットを使って
アクセサリーを作るのがすごく良いストレス発散でもあったし、

気持ちの支えにもなっていましたね。

【夫】 子供が4人いて、さらに介護も… でしたからね。
その頃、たぶん妻は一番しんどい時期だったんじゃないかな… と思います。

↑旦那さんが子供用 Tシャツを作るときに、実際に使用されていたシルク印刷の版。

    

    

旦那さんは子供用Tシャツを、奥さんはアクセサリーを。
いまとは少し違うカタチですが、お二人とも作家活動をされていたんですね。

【夫】 子供用Tシャツってなかなかニッチな分野なので、
正直なところ…お金にはならなかったですけどね。笑

【妻】 私のほうは先ほど話したような感じで、

夜中に空いた時間を使って、チクチクとアクセサリーを作る生活を長らく続けていたんです。

するとある日、夫に「DECO」とデザインされた商品タグを渡され、

そして「DECO」とタイトルのついたブログを見せられ… !!! 笑

突然「今日からお前はDECOだ!!」と言われたんです。笑

 

「今日からお前はDECOだ」?!

え〜〜 !! では...奥さまのアクセサリーブランド「DECO」としての活動は
そうやって旦那さんに背中を押されるカタチで唐突にスタートしたんですね 笑

【妻】 そうなんです そうなんです。
今でこそ、夫と二人で「DECO+」ですが

そのころは私一人の活動で「DECO」だったんです。

しかも、「DECO」の頃はまだ若かったのもあって
アンティークのレースや、プラスチックの大きめのパーツだったりを使っていたから、
今と違ってとっても派手だったんですよ…。笑

  

お〜 若い。笑
そういう素材感、とっても若いですね〜。笑

【妻】 そうなんですよね。笑
だからブランド名も「DECO」っていうキャッチーな感じでしっくり来てたんですけど…。笑

そうなると、今作っている作品と名前がそぐわないような気もしているんですが、
もうこれで覚えてくださっている方も多いので、そのままに…。

↑思わず「若い !」と表現した、奥さんの「DECO」時代の作品。アンティークのレースや、ビーズや淡水パールを使って作品を作っていたのだとか。

 
いつ、どのようなキッカケで「DECO」から、
夫婦ユニット「DECO+」として活動がスタートしたんでしょうか?

【夫】 じつは僕、販売こそしていませんでしたが、
自宅で使う家具なんかは、自分でチクチク作っていたんです。
実家が岡山で溶接の工場をしていたのもあって…。

そんな時、妻が

知り合いのお店で「DECO」としての初めての個展を開催するときに、
主催の方が「旦那さんが作られている鉄工の家具もぜひ会場に一緒に置いてください」と、

声を掛けてくださったんですよね…。

【妻】 そうですね、それが5年くらい前ですね。
それをキッカケに、夫が鉄工作品で「DECO」に加わることになったので「+」をつけて、
それでやっと「DECO+」がスタートしたという感じですね。

  

そうしたキッカケで誕生したのが、夫婦ユニット「DECO+」なんですね。
スタート当初からもうすでに
「DECO+」として鉄工・金工・木工の作品づくりというスタイルは確立されていたんですか?

【夫】 鉄工に関しては、先ほど少し触れたように
実家が溶接業をしている関係で、設備もあるし道具も揃っているし、教えてくれる人もいて

僕が鉄工を始める環境は整っていたんです。

そういった中で、僕が鉄工作品を作りはじめるのは自然な流れでした。

あとは僕が鉄工を始めた頃、
インダストリアル系(※2)のものが盛り上がっていて
時代の流れにうまく乗った…というところはあると思います。

↑(※2)工業デザインのような男性的な雰囲気をもつインテリアのこと。素材をありのままに使い、機能美や無機質感を楽しむインテリアのこと。

  

【妻】 ちなみに、私が金工を始めたのは…。。

 

奥さんが金工を始めたのは…?

【妻】 ある日突然「ピンポーン♪」って金工セットが届いたんです。笑
代引きで。笑

それで、始めました。笑

 

えーー ! それはまさか...また… 旦那さんが…?? 笑

【夫】 そうですそうです !

妻がずっと「金工をやりたい」って言っていたもんで。笑

  

アクセサリーキットに次ぐ、旦那さんの二度目の導きで
奥さんが金工作家としてのスタートを切ったということですね?

【妻】 えー! 導きなのかなぁ…。 勝手に送られてきただけですよ。笑

【夫】 しかも、「お金は自分でちゃんと払ってね」って。笑

  

突然(代引きで)送られてきたとはいえ、

奥さんはもともと金工をやりたかったんですもんね? 笑

【妻】 そうですね〜…。笑
確かに、私は「なにかを始める」っていう行為がとても苦手なので
こうやってキッカケを与えてもらったほうがラクなのかもしれませんね。

【夫】 真面目な話をすると、DECO+ がスタートして5年目になるのですが、
まだまだ技術的に足りていない自覚もありますし
センスについても自信のない部分がたくさんあります。

素敵なものは世の中に本当にたくさん溢れていますから…。

そういった意味でも、DECO+の立ち位置としては
「ハンドメイド」と「クラフト」の隙間あたりをわざわざ狙っていたりするんです。

↑金工セットを買ってもらったばかりの本当に初期の頃の、奥さんの作品。

  

DECO+として、旦那さんの鉄工・木工、そして奥さんの金工。
お二人の作品同士が喧嘩せず乖離せず、
ブランドのイメージがきっちりと統一されているように感じます。
かなり綿密なブランディングをされているんでしょうか?

【夫】 そう思っていただけるのは大変ありがたいです…。 笑
DECO+のブランディングっていうのはいま僕たちの一番の課題だと思っています。

ぼくら夫婦に共通しているんですが、「好き」の範囲がすっごい広いんですよ。
「こうじゃないとイヤだ」っていうのが本当に無くて。

例えば、アンティークや古道具が大好きな反面、
全く真逆にあたるモダンだったりポップだったりするものも大好きなんです。

 

その話、とっても意外です。
逆にお二人は「好き」の範囲がかなり限定的で、かつ
「好き」がかなり近いところにあるんだと思っていました。

【妻】 じゃないんです。実は… 。笑
もう好きなものがありすぎて、いろいろブレていっちゃうこともあるんですよね。

【夫】 僕ら、同じところにずっと留まるっていうのが基本的に苦手なんです。
だから日々ちょっとづつ好きなものが変わっていくので、
同じイメージでずっと作り続けるっていうよりは、
その時その時で好きなモノの影響を受けながら作品をつくる…っていう感じですかね。

↑右手前にあるのが旦那さんの作品。USBケーブルで接続し、持ち運べるライト。シンプルかつ無骨なデザインに心をつかまれました。

 

お二人が考える、他の作家さんにはない
「DECO+ の強み」ってどのようにところにあると思いますか?

【夫】 さっきの話にもつながるんですが、「こだわりすぎないところ」が強みかな と思います。
時代や流行が変わっても、それに多少ついていけるのかな? と。

  

強みは “ 柔軟性があって、こだわりすぎないところ” …ということですか。

【夫】 そうですね。
DECO+ をスタートさせた当初は、グーンときていたインダストリアルが
今は少しづつ落ち込んでしまっているようですが、
もし自分たちがそれを頑なに追求していたら、
今を耐えるしかなかったかもしれない。

でも僕たちは、そこに頑固になってはいないので
時代に合わせて変化できる。
そういうやり方を目指してもいますね。

ただ… それが僕らのブランディングの弱さにつながっているところでもあるんです。

  

あー、なるほど…!
時代の波に乗れる柔軟性が、ブランディングの確立を阻む…。
良い面と悪い面が両方あるんですね。

【夫】 そうなんです。
あと、僕らには「ずっと同じものを作り続ける」っていう安心感もないので。
特に妻に関しては、おそらく「同じものを作るのが嫌い」っていうのもあって…。笑

【妻】 作ってる途中に次のアイデアが頭に浮かんじゃうと、
そっちを作りたくなっちゃうんですよね。笑
そんな感じなので、たまに「あの時のあれをください」って言われても、

もう作ってないから無いんです。

「作るものをもっと絞った方が良いよ。」と、よく知り合いの作家さんたちに言われるんです。
それが正しいやり方だと分かっているんですけどね…。

  

Fountain Mountain でのポップアップでは、

奥さんの金工アクセサリーが50点近く並び、しかもそれらが全て「一点モノ」。
お客さまにはそこに興味と価値を感じていただけたように思います。
ただ、作り手さん側からすると今後のブランディングや方向性を考えたときに
それが一概に「良い」というワケではないんですね…。

そういったことも含めて、
お二人の作品づくりされる上での苦労はどのようなところにあるんでしょうか?

【夫】 やっぱり…「時間」ですかね。
「作品のこういうところを作るのに苦労します」っていうよりは、
“ 時間の捻出 ” という面で苦労していますね。

しかもうちは夫婦ユニットですので、
お互いの作品づくりの時間配分には苦労しています。

納期が詰まってくるといつもケンカしちゃいますね。笑

【妻】 そうですね。あとは…「技術」ですかね。
 

私の場合は完全に独学で作っているので、
「こうしたい!」って思いついた時に、聞ける先がない というのには苦労していますね。

↑本当に全てが一点モノだった奥さんの金工アクセサリー。「どれにしよう...」と悩むお客さまでポップアップスペースは混雑しました。

  

なるほど… 業界は違えど、身につまされるお話しです。
どちらも切実な問題ですね。

そして、最後の質問になるのですが
DECO+ として「今後どうありたい」という展望を教えてください。

【夫】 そうですね。

僕はお金関係なく自分が思ったものを作れるようになりたいですね。

【妻】 確かに…。

作品を作ったら、それをすぐにお金にしなくても耐えられる財力があれば…とは思いますね。
自分が本当に作りたいものを、思いっきり時間をかけて作ってみたいですね。

今は、次のイベント… そのまた次のイベント… と、
とりあえず数をこなしてしまっているような状況でもあったりするので。

あとは…そうですね、
いま、実は私たちが発表している作品たちを

心のどこかで「恥ずかしい」って思っちゃってるんです。

もちろん自分たちなりに納得いくカタチで出してはいるんですけど、
やっぱり「恥ずかしい」っていう気持ちが拭えていないんですね。

【夫】 ただ、こういう気持ちでいたらダメだってわかってるんですけどね…。
買っていただいた方にも失礼ですしね。

【妻】 そうなんです。
堂々としなきゃってわかってるんですけどね。

いろんな人に「堂々としていることが、作品の安心感だよ。」とも言われます。

なので、いつか「これが私の作品です。」と胸を張って言えるようになって、
そしてそれを気に入ってくださる方がいたら…
それが私たちの理想の展望ですね。

↑7月14日〜7月22日で開催した「DECO+ ポップアップストア」。たくさんのお客様にお越しいただきまして、本当にありがとうございました。

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